えー、四季報記事が行き詰った時に書かれがちでおなじみの仮想通貨徒然草、第2回にしてすっかりおなじみになりましたね(強引)。
前回までのストーリーはこちら。
第1話「世界中から踏み倒されたビットコイン」
第0話「なぜ私は仮想通貨投資を止めないのか?」
さて今回は、「電子の海へと消えたメッセンジャー」のお話です。
ICO=詐g(検閲)ではないんだけど
2017~18年にかけての前回バブル時、ビットコインのような古くてメジャー(笑)な通貨に飽き足らない投資家たちを魅了したのは「ICO」でした。あの頃はタダのホワイトペーパーに数十億円もの資金が殺到。まさにバブルといってよい状況でした。
しかし、資金を集めた後の進捗があまりに悪かったり(やたら豪勢なパーティにいそしむメンバーの写真ばかりがアップされていく(笑))、できたプロダクトがしょぼかったりで、徐々に馬脚を現すようになり、各国でICOに対する規制の強まったことや、相場自体の冷え込みとも相まって、2019年現在ではICOはほぼ絶滅したといっていいでしょう。
しかし、当然ICOの全部が詐g(検閲)というわけではなく、2014~15年頃という早い段階にICOを行ったプロジェクトの中には、イーサリアムやファクトム、そしてオーガー(REP)など、バブル崩壊後もなお、当初価格の数十倍~数百倍の価格を維持しています。
そんな中、今回取り上げるのは、イーサリアムのちょっと後、ファクトムとはほぼ同時期に行われた、あるICOトークンに関するお話です。
世界を変える!仮想通貨メッセンジャーアプリ「Getgems」
2014年末~2015年初にかけて、イスラエルのスタートアップ企業が開発した、ビットコインの送受信に対応した仮想通貨メッセンジャーアプリ「Getgems」アプリ内で使える「GEMZトークン」のクラウドセール(当時ICOという言葉はまだなかった)が行われました。
当時の価格で、1BTC(3万円ぐらい?)=17,250 GEMZトークンが受けとれるという価格設定になっており、当時の私も確か2.5BTC位突っ込んだことを覚えています。
また、当時からビットコインに関してつぶやいていた人はほぼ全員が彼らのブログやツイッターでGetgemsを取りあげていました。ほぼ全員が買っていたのではないでしょうか。
当時の記事たち
仮想通貨を組み込んだメッセンジャーアプリのGEMSがプリセール(大石哲之氏のブログ より)
Crowdsale直前 次世代メッセンジャーアプリGems解説(Koji Higashi氏ブログ より)
次世代SNS、GEMSを爆発的に普及させよう(Crypto Currency Magagine より)
あの頃の少ない情報源で、すくなくとも私が信頼していた専門家のほとんどがGetgemsを高く(とは言わなくともある程度は)評価していたわけですから、これでは買わない理由がありません。ホリエモンも買ってたし。
また、クラウドセールだけではなく、VC(ベンチャーキャピタル)からも複数回資金調達を実施し、まさに注目のスタートアップ!数年後が実に楽しみ!という状況でした。
確かに大きく変わったよ……
2015年初にプレセールを終えたGEMZトークンは、その後ほどなくPoloniexなどの海外大手取引所に上場されます。初値は約0.024ドル(約2円)でした。
そしてこの後の展開ですが・・・まあ今このトークンを知る人がいないことからもわかる通り、どこの取引所からも上場廃止され、事実上電子ゴミになってしまいました。一応Counterparty上のDEX(分散型取引所)では取引できるみたいですが、実質機能していません。
僕の2.5BTCはゴミになってしまいました。
ちなみに2.5BTCをバブル時の最高値で計算すると約600万円。あぁ。
一体何がダメだったんですかね・・・
2015年6月、Getgemsに投資していたはずのホリエモンが、仮想通貨ニュースサイトに掲載された対談で、Getgemsをこうこき下ろしています。
あんまり良いイメージがないです。使ったらお金が貰えるメッセンジャーとか、なんかやらしいですよ。そういう風になるのは良くないと思う。
「使ったらお金がもらえる」というのは、TelegramやLINEなど、先発のメッセンジャーアプリと差別化を図るべくGetgemsが打ち出した「アプリを使い、広告を見るほどにトークンがもらえる」という機能のことで、ホリエモンはこれを2015年の段階で真っ向から否定していました。
現に私自身、投資しておきながら、アプリをダウンロードすることもなく、使いもしていません。
今考えれば、自分が使いたくならないものが、なぜ世界中に普及するなどと思ったのでしょうか。
Getgemsのその後
各取引所から上場廃止され、電子ゴミと化したGEMZトークンとほぼ同時期に、Getgemsのアプリ本体についても徐々にアップデート頻度が減り、サイトが見られなくなり、コミュニティも衰退していきました。
また、開発元だったはずのイスラエルの企業は、なぜか今「Paykey」という全く仮想通貨とは無関係の事業に転換してしまい、Getgemsのことは完全に抹消したつもりです。
これはICOの法規制にも関わってくるのですが、これがもし、開発元企業の「株式」の売り出しならば、基本的に投資家は保護されます。出資者ですから。また、「社債」の売り出しだったとしても、法的枠組みの保護対象となります。債権者ですから。
しかし、単なるトークンだと、返す義務も、配当する義務も何にもないわけです。ある日突然トークン持ってドロンされても、文句を言えないのです……(Getgemsの場合は、決してわざとではないとは思うのですが。)
Getgemsの一件は、ICOをまるで必ず儲かる打ち出の小槌かのように思っていた我々投資家に対して、重大な教訓を残したと思います。
さて、次回は・・・?
さーて、次回の仮想通貨徒然草は~?
クラウドマイニングに投資してお金をなくした話をします。(そんなんばっかやんけ)
コメント