四季報全部読む!番外編その3 ピーターリンチの株式分類法とは? 後編

前回から結構日が開いてしまいました。四季報全部読む!の本編が忙しいのと、気になった企業の個別記事を書かねばならないのとでこっちまでは手が回らなくて・・・。

さて、有名投資家のピーター・リンチは、株を六つに分類しています。

成長のスピードの速さ、という観点から①低成長株②優良株(中成長株)③急成長株
そしてその企業の経営や資産の状態から④市況関連株⑤業績回復株⑥資産株

前回は①~③に応じて、その定義を説明しました。また、当社では「これを日本の株式市場で当てはめるなら・・・?」実際に成長率などの条件を設定し、スクリーニングしてみました。

しかし今回は、どうも定量的な評価が難しそうです。

例えば、「資産がある」という条件にしても、リンチは「無形の資産、ブランドや特許権も『資産』といえる」としています。これはとても検索して調べられるものではありません。

ですので、前回のようにスクリーニングすることは難しいですが、どうにかして具体的な企業名は上げてみたいと思います。

 

④市況関連株

市況関連株の定義自体はとっても簡単です。

売上と利益循環的に上下する企業。
業種でいえば、自動車、航空、タイヤ、鉄鋼、アルミ、化学+防衛

あと、リンチは「ほとんどの市況関連株は大きくて有名な会社だ」とも言っていますので、小型株は当てはまらないことになります。

米国での具体例としては、有名な自動車会社フォードが挙げられています。

市況関連株は前述の通り、定量的な定義こそありませんが、ある程度業種や規模でスクリーニングはできます。というわけで、楽天証券の「スーパースクリーナー」で検索します。

業種を「化学、石油・石炭製品(価格変動が大きいので市況関連と判断)、ガラス・土石(タイヤ関係)、ゴム、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、輸送用機器、機械、電気機器、精密機器(半導体も市況に大いに関連ありと推測)、空運業、海運業(海運も市況影響大)」

規模を「時価総額1000億円以上」に限定します。

また、市況関連株は値動きが「嘘発見器にかけられたような」動きをするということで、日経平均よりも激しく動く=つまりβ値(市場平均の値動きを1とした時の対象銘柄の値動きの大きさ)が大きい株、つまりはβ値が「1.2」以上と条件設定をしたところ、全115社となりましたので、そのリストをエクセルファイルをアップしておきます。

市況関連株

ただ、こういった企業の場合、各業界について十分知識がないと、市況を判断して利益を上げることは難しいでしょうから、これらのリストにある株は「優良株」と間違えちゃいけないな、ぐらいの使い方でよいかと思われます。

 

⑤業績回復株

業績回復株。ここも難しいです。倒産はしなかったものの、業績不振から立ち直った系の企業ということですが・・・。

リンチによれば、業績回復株にはいくつかパターンがあるようです。

「助けてください、さもないと」型

これは政府からの支援に頼るパターン。直近では東芝、少し前なら日航でしょうか。企業再生支援機構、産業再生機構とかの政府系機関を通じて、国がかりで支援を受ける企業ということになります。

一回上場廃止になっちゃった日航はアウトですが、上場が維持された東芝の株価を見てみるとこんな感じの動き。

案外そんな下げないもんですね・・・。2017年初頭の2番底で2000円を切ってから、現在は3000台を回復していますが、そこからさらに回復するのでしょうか?

 

「まさか!?」型

このタイプはよくわからないです。リンチが具体例で挙げた「コン・エジソン」は電力会社なのですが、特に70年代に経営危機に陥ったとは書かれていません。

 

「予期せぬ出来事」型

リンチはスリーマイル島の事故を引き起こしたGPU社を例にとっています。日本で同様事例というと、東京電力でしょう。

確かに、震災後最安値が2011年の6月の148円で、4年後の2015年夏に900円近くまであげているので、天底で6倍になってます。

ただ、原発の廃炉費用は非常に重くのしかかっており、完全解決の見通しもまだと聞いていますので、ここから右肩あたりで回復するとは思えません。

そのほかリンチは「倒産会社の中の超優良会社」や、「株主を益するためのリストラ」といったタイプの業績回復株を上げていますが、いずれもあまり日本では見られないと思います。

 

「業績回復株」予備軍たち

四季報などで「疑義注記」「重要事象」などと表記されている銘柄をみたことないでしょうか。

通常、赤字が続いたとか、債務超過に転落する危険性があるとかそういった場合、企業はその旨を有価証券報告書等の書類に記載し、周知しなければなりません。

SBI証券では「疑義注記」銘柄を一覧にして表示しています。この中には、有名なパイオニアやジャパンディスプレイなどの大企業も入っており、疑義注記銘柄として注意喚起されています。

パイオニアなんかはカーナビで良く名前聞きますし、ジャパンディスプレイは国主導で再生を図っているので、国の威信にかけてもつぶせないように思います。

これら企業がもし本格的に復活を遂げれば、その時は株価も大きく上げるでしょうが、その前に倒産or上場廃止コースも十分考えられるので、あまり本気で突っ込まないように・・・。

 

⑥資産株

ようやく最後のパート、資産株です。資産株は、まだ人が気づいていない資産をたくさん持っている企業であるとリンチは言っています。

一口に資産といっても、沢山種類があります。現金、土地、株、貴金属・・・。これをスクリーニングするのは結構大変ですが、まずは現金で行ってみましょう。

現金総額>時価総額な企業たち

会社が持っている現金の総額よりも、時価総額の方が安いという企業があります。普通に考えればおかしな話です。

時価総額=企業の価値ですから、その企業の持っている財産や借金、将来の利益なども含めた価値がすべて反映されているはずなのに、現金の分すらちゃんと評価されていないんですから。

そんな企業をスクリーニングしてみました。およそ50社ほどありましたが、中には先ほど紹介した「疑義注記」企業である船井電機も入っていますので、要注意です。

現金÷時価総額100%以上

 

その他の資産株

その他の資産(不動産や有価証券など)は「固定資産」に入ります。個人的には有価証券が固定資産に入るのは意外ですが、固定資産の金額が大きいということは、その企業が不動産or有価証券をたくさん持っている可能性があるということです。

ただ、いくら不動産の評価額が高いといっても、本社や工場を売るとそれこそ身売りになっちゃうので、どっちかといえば有価証券をいっぱい持っている会社を探り当てるためにこのリストを使った方がいいと思います。

固定資産÷時価総額PBR0.5倍以下

スクリーニングした条件としては、「PBR0.5倍以下」かつ「自己資本比率50%以上」であること。これで抽出した企業の保有固定資産を時価総額で割っています。

すごい企業だと、時価総額の4倍の固定資産持っている企業がありますね。前回の四季報全部読む!で取り上げた「ダイナパック」時価総額(150億円)よりはるかに大きな固定資産(500億円以上)を持っています。

このリストから、特に一つ一つ調べてみていけば、とんでもない資産株があなたの前に現れるかもしれません。

 

まとめ

ピーター・リンチは、株式は6種類に分けられるなんて言っていましたが、日本の株式市場はおそらくピーターリンチも理解不能の、どれにも当てはまらない「無色透明」な株であふれています。

成長もしない、大した資産もない、配当もよこさない、値上がりもしない・・・正直株式公開をしている意味自体のない企業がたくさんあります。

アメリカの上場企業は4000社、日本の上場企業数は3500社あるといいます。要するに上場企業数が国の規模の割に多すぎるのです。

もっと上場企業の整理・統合を望みます。

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