四季報2018秋全部読む! 第13回 下げ局面で成長株投資は止めとけって・・・

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四季報2018秋全部読む!前回は、3861 王子HLDGから3940 ノムラシステムコーポレーションの中で、気になる企業をピックアップしました。

今回は3941 レンゴーからです。典型的な資産株ばかりの紙・パルプ業界と、急成長株がずらりとそろったIT業界。好対照な業界が株式コードで近所なのが少し不思議です。

とんでもない資産株あり、イケイケの急成長株あり・・・それでは見ていきましょう。

 

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~ここまでの投稿~

第12回「きれいなチャートと10倍株」

第11回「コーエーの野望」

第1回~第10回まとめ

番外編「あの不動産企業は今」

番外編②「ピーターリンチの株式分類法とは? 前編」

 

ピックアップ基準(これらのうち複数を満たす企業を中心にピックアップします)

・同業他社と比較してPER、PBRが低いこと

・財務が堅実であること(自己資本比率50%以上、ネットキャッシュ豊富)

・営業利益率が同業他社と比べて高い(できれば10%以上)

・売上高成長率が高く、かつ営業利益の伸びを伴っている

・業務内容などに何らかの個性が感じられる(業界初、唯一の企業)

・その他時事ネタ

あと、業界のベンチマークとして、大手企業を見ることがあります。
特に気になる企業は文字を赤くします。また、企業の特徴に応じて急成長株、市況関連株などの分類を行っていきます。

また、好材料は赤い文字、悪材料は青い文字で書きます。強い材料あれば太字にします。

 

3941 レンゴー~3956 国際チャート【紙・パルプ】

3944 古林紙工 資産株 印刷紙器のパッケージングメーカー。負債が多いので自己資本比率は43%しかないが、花王の株式を39億円分を始めとして52億円分の株式を持っている。これだけですでに時価総額48億円をうわまわっている。さらには15億円分の土地を保有している。予想PER7倍前後、PBRは0.4倍程度と超割安。

3947 ダイナパック 超資産株 食品向け、家電向けの段ボールを作っている企業。予想配当利回りが3.3%、PBR0.35倍と非常に割安。ここは時価総額が154億円しかないのに、カゴメ株200億円分をはじめ280億円分もの株を持っている(含み益たっぷり)。土地も不動産事業用、工場用地合わせて80億円以上ある。

そして、これだけの資産を擁するにも関わらず、ここは自己資本比率が60%しかない。

それはなぜか?実はこの会社、ものすごい借金をしている・・・わけではなく、含み益になっている株式や土地を「もしも今売ったらこれぐらい税金かかりまっせ」という額を予め負債(=繰延税金負債)にしているだけなのだ。つまり、実際に株や土地を売るまでは、この負債は発生しない。

それにしても、時価総額の過半=約75億円で、400億円以上の純資産を持つ会社の経営権が手に入るのは、普通に考えておかしい。日本企業の経営陣が株価に全く関心がないという典型例だろう。

3952 中央紙器工業 資産株 紙・パルプ業界は資産株だらけ。自動車部品や家電用の段ボールを作っている。ここは時価総額70億円に対して、キャッシュフローが72億円。自己資本比率85%、有利子負債なし。

 

3960 バリューデザイン~3999 ナレッジスイート【情報・通信】

ここも2016~17年上場の会社ばかりなので、まずは年20%以上の成長を続ける急成長株から、続いてその条件からはやや外れるもののその他注目の企業を紹介します。

3963 シンクロフード 急成長株 飲食店向けに特化した情報サイトの運営企業。株価は2018年は年初に急上昇したものの、その後長く調整し、夏に一瞬上がりかけたと思いきや、秋以降は押さえつけられたように株価上昇が止まっており、上昇トレンドが終了したとも見えるが果たして?
16.3月期実績 売上8.5億 営利3.2億(営利率37.6%)⇒20.3月期予想 売上23億 営利7.7億(営利率33.4%)

 

3983 オロ 急成長株 自社開発のERP(≒基幹業務)ソフトの開発、提供を行っている企業。海外進出も積極的。チャート的には非常にきれいな上昇を見せている。ピックアップ基準には19.12月期売上予想が微妙に足らないものの、値動きが良かったので入れた。2017年の上場後に急に業績の伸びが早くなっている。
15.12月期実績 売上30.5億 営利6.4億(営利率20.9%)⇒19.12月期予想 売上60億 営利15億(営利率25%)

今年のゴールデンウイーク以降、値動きの角度が急になってきた様子がわかる。ただ、足元で新高値を更新しない形でのダブルトップを形成しつつあるので、このまま一気に崩壊・・・という可能性も大アリ。要注視。

 

3985 テモナ 急成長株 定期販売特化型の通販システムの会社。上場直後は下げ一方だったが、2018年に入ってから一気にブレイク。チャートの雰囲気的にこれから・・・だと思ったのだが、下落でトレンドを割りそう。
15.9月期実績 売上4.5億 営利0.45億(営利率10.0%)⇒19.9月期予想 売上16.5億 営利3.5億(営利率21.2%)

※今年の2~3月に急上昇してからはレンジで動いている。

来月、今期(18.9)決算が出て、20.9月期の予想の数字がでるので、これを受けてどうなるか?といったところ。

 

その他期待の銘柄

ここからは、ピックアップの基準(4年でで売上、利益2倍≒平均成長率20%)には当てはまらないものの、そのほか新興株で気になった企業をピックアップします。

3984 ユーザーローカル 急成長株 ビッグデータの解析ツールや、AIによる業務支援ツールの開発企業。実はここの会社に旧友がいるので取り上げている。売上、利益の上昇率が少し弱い一方で営業利益率が40%近いのは驚異的。値動はというと、上場以来大きく下げてしまっている。ただ、9月以降底打ちしてきているので、一転上昇へ向かう可能性も十分にあり。
昨日(10/11)の暴落でも3%程度しか下げず、今日4%上昇したので、結果的に暴落前より微上昇している形になっている。

16.6月期実績 売上7.8億 営利3.2億(営利率41.0%)⇒20.6月期予想 売上13.8億 営利5.5億(営利率39.8%)

日経平均を挟んで6000~7000円のレンジでずーっと動いている。苦しい展開。

 

3994 マネーフォワード 急成長株? 「?」を付けたのは、ここが今まで一度も黒字になったことがないから。今のところこの会社は、個人向けの家計簿アプリと、法人向けの会計ソフトの二本立て。個人と法人の両方に顧客があるのは、バランスが取れていてよいと思う。

利益を出してないので、売上だけでみると、15.11月期実績の4.4億円から、19.11月期には65億円15倍近くに跳ね上がると予想されている。

また、赤字続きの割にはネットキャッシュは36億円あるが、果たして黒字になるまで会社が持つのか!?というのがこの企業のポイントになってくる。
15.11月期実績 売上4.4億 営利▲11.2億(営利率-)⇒19.11月期予想 売上65億 営利▲3億(営利率-)

ここ1年のチャートを日経平均と比較。もし将来的に黒字化したらすごく上がるか?と考えたが、今の株価だとPER50倍の割高水準でも純利益だけで17億円ぐらい稼がなきゃいけないんだけど、現状8.4億円の赤字出している会社がそこまでいくのに一体あと何年かかるのやら・・・。

3996 サインポスト 急成長株 金融機関や公共機関向けのシステム開発コンサルを行っている。四季報コメントは【足踏み】と不安。ITは人手不足だからなぁ・・・。
16.2月期実績 売上14.4億 営利1.5億(営利率10.4%)⇒20.2月期予想 売上35億 営利4.6億(営利率13.1%)

値動き的には、6月が底でそこからなだらかに上昇。ただ、今回の暴落がどれだけの影響を与えるか。

3998 すららネット 急成長株 オンライン学習教材「すらら」を、全国の学校や学習塾に販売している企業。IT系というよりむしろ教育系企業という感じ。海外進出も積極的で、スリランカ、インドネシア、インドなどアジア中心に展開。インドは英語圏なので、英語対応できれば一気に広がるんではという期待もある。PERは66倍とやはり割高。
15.12月期実績 売上5億 営利0.6億(営利率12.6%)⇒19.12月期予想 売上11.3億 営利2億(営利率17.6%)

ここは6月をピークに下げ一方・・・。戻りはあるのか?

 

まとめ

今回はイケイケの成長株と、びっくりするほど含み益ジャブジャブの資産株という正反対の企業を取り扱いましたが、正直昨日(10/11)の暴落で一気に市場の雰囲気変わる可能性あるんで、我が社的にはテンション下げ下げです。一昨日書き始めたときはノリッノリだったんですけどねー。

ただ、暴落の影響が小さかったユーザーローカル(下落幅3%)は、今日暴落前の水準を回復していますし、もしかしたら一時的な調整に終わるのかな?という期待も抱いています。

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