四季報全部読む!番外編その①あの不動産企業は今

前回記事で、不動産企業の成長率と利益率が絶好調にもかかわらず、とても低いPERで放置されてるのはなんでかなーと不思議に思い、いろいろ調べてみました。

「不動産 PER 低い 理由」と・・・。

すごい安直な調べ方ですが、良いブログを見つけましたので、参考にリンクを貼っておきます。

なぜ商社株や不動産株のPERは低いのか by公認会計士 足立武志様

要するに不動産業界は今後の見通しが不安定なので、機関投資家や大口はあまり積極的には買わないんだということでした。

じゃあどんだけ不安定なのか。前回不動産が好調だった、リーマンショック前の2005年8月当時、ある投資家さんが、当時もてはやされていた不動産流動化(=証券化)関連銘柄の時価総額を比較するブログを書いておられます。

ちなみに当時私はまだ高校生でしたからね。投資などできるはずもなく、好景気を指をくわえて見ておりました。

不動産流動化関連銘柄の時価総額比較 by資産運用千夜一夜 様

記事中で取り上げられていた銘柄は以下の12社。

  企業名(市場-銘柄コード:決算月)
1.アセット・マネジャーズ(HC-2337:2月)
2.セキュアード・キャピタル・ジャパン(M-2392:12月)
3.ダヴィンチ・アドバイザーズ(HC-4314:12月)
4.ケネディクス(東証1部-4321:12月)
5.フィンテック グローバル(M-8789:9月)
6.アーバンコーポレイション(東証1部-8868:3月)
7.クリード(東証1部-8888:5月)
8.レーサムリサーチ(JASDAQ-8890:8月)
9.パシフィックマネジメント(東証1部-8902:11月)
10.リサ・パートナーズ(M-8924:12月)
11.レイコフ(HC:8941:8月)
12.シンプレクス・インベストメント・アドバイザーズ(M-8942:3月)

これらの企業達は、今どうなっているのでしょうか?それでは株式版 あの人は今のスタートです。

 

1.アセット・マネジャーズ ⇒ 現社名 いちご

2005年当時の時価総額は1181億円⇒2018年現在 2084億円

ここに書いてある時価総額は2005年8月時点での数字で、その後同年末にこの倍近くまで上昇します。しかしこれ以降株価は軟調となり、07年以降はサブプライムローン問題もあって下落一途。リーマンショック発生時点で既に1/10の水準まで下がっていました。

09年1月時点での調整後終値(株式分割を考慮した数値)は、なんと29円。ピーク時のおよそ1/70の水準にまで下げました。

その後10年に現社名に変更し、「心築」とよばれる独自のリノベーション技術を駆使しての不動産価値向上や、大規模太陽光発電所などのクリーンエネルギー事業を中心した企業へと業態を転換させていきました。

株価も12年前半に40円台だったところ、13年4月末には500円まで復活。その後は300~400円台とあまり冴えませんが、ひところの惨状を思えば十分復活といえるでしょう。

 

2.セキュアード・キャピタル・ジャパン ⇒ 現社名 PAGインベストメント·マネジメント

2005年当時の時価総額は312億円⇒ 2011年MBOで上場廃止

ホームページを見ても、いまいち何をやっているのか不明・・・。

 

3.ダヴィンチ・アドバイザーズ ⇒ 現社名 DAホールディングス

2005年当時の時価総額は1140億円⇒ 2010年「株価の基準が上場基準を満たさなくなった」として上場廃止

リーマンショック後のあおりを受けて、債務超過に転落、上場廃止時最後の終値は102円。ピーク時には十数万円を付けたこともありましたが、その末路は悲惨なものでした。

ただ、現在も会社自体は存続しており、また創業者の金子修氏も、別の不動産会社の社長として返り咲くなど、未だに頑張っている様子。

 

4.ケネディクス

2005年当時の時価総額は827億円⇒2018年現在の時価総額 1539億円

ここもピークの株価が05年末の4090円で、それ以降は下落一方。リーマンショック後の09年初に最安値50円と1/80まで落ちました。

その後09年6月ごろに600円近くまで急回復するも、その後再び下落基調となったところの大震災で、11年10月に78円まで落ち込みます。

12年以降は急回復して、現状の500円~700程度の水準で推移しています。

ここの自己資本比率は不動産業界では珍しく55%を維持しています。やはり過去のことが教訓になっているのか・・・。

 

5.フィンテックグローバル

2005年当時の時価総額は925億円⇒2018年現在の時価総額 360億円

2005年当時にすでにフィンテックという言葉が社名に使われていた(1994年からこの名前だとか)ことに驚きです。

また、ここのところ値動きも急騰しており、復活の兆しをみせています。

 

6.アーバンコーポレイション

2005年当時の時価総額は1868億円⇒2008年倒産、上場廃止、2013年清算完了。

ここがいちばんエグい。5年間で7.5倍の成長を成し遂げた急成長株だったはずが、あれよあれよという間に不祥事が発覚、反社会的勢力との関係もうわさされたために支援先も見つからず、最後は株価1円で取引終了。

おそろしい・・・。

 

7.クリード

2005年当時の時価総額は645億円⇒2009年倒産、上場廃止。

ここもあっという間に潰れてしまいました。倒産直前の08年までは連結で400億円を超える売上高があったのに、09年初に650億円の負債を抱えて会社更生法の適用を受けました。

ただ、会社自体はその後も存続しています。会社更生処理が落ち着いた2012年ごろから、マレーシアを始めとする東南アジアへの投資を開始し、今ではすっかり東南アジアの会社になっています。

 

8.レーサムリサーチ

2005年当時の時価総額は930億円⇒2018年現在の時価総額 683億円

05年末の最高値は3140円、そこから下落一途でリーマンショックの前時点で既に400円を挟んでの攻防となっていました。09年3月にはついに100円前後まで下落。そこから10年4月には400円台に急回復します。

しかし震災後にさらなる下落が始まり、11年11月には75円まで下落。

一方で翌年12年の最安値80円に対し、同年末には540円と7倍近くにまで急騰。さらに翌13年5月には2572円と、大相場を演じました。

その後は落ち着いて、現在は1500円前後の取引となっています。

ものすごくボラティリティがあるので、うまく当てられれば大きくはまる株ですが・・・。

 

9.パシフィックマネジメント

2005年時点の時価総額は932億円⇒ 2009年 会社更生法の適用を申請して倒産、上場廃止。

ここも倒産しています。ホームページすら残っていません。しかも倒産へ至る経緯も、なんども支援先のスポンサーが決定したような情報が流れてはダメだったということが繰り返されたため、株価が乱高下。

倒産が発表された時点で1,600円だった株価も、廃止直前には100円を切っていました。ここまでわずか1か月・・・。

 

10.リサ・パートナーズ

2005年当時の時価総額は394億円⇒2010年、NECキャピタルソリューションズに買収され、上場廃止

上場が廃止された株の時系列データは、Yahooファイナンスでも見ることが出来ませんので、05年以降の動きは分かりませんが、こちらは倒産せず、子会社になる形で生き残ったようです。

ただ、買収直前に発表された決算では、売上高が前年の4割減、経常利益に至っては9割減とほぼ壊滅的な数字であり、かなり苦しい状況だったのは間違いない様子。

 

11.レイコフ

2005年当時の時価総額は199億円⇒2008年 経営破綻。民事再生手続きを開始して、上場廃止。

ああ、ここもか。2008年3月20日(休日)の民事再生手続き開始発表だったことから、休み明けの21日から売り注文殺到。21日に18,500円だった株価は、最終取引日の4月20日には200円となりました。

 

12.シンプレクス・インベストメント・アドバイザーズ

2005年当時の時価総額は1,325億円⇒2008年 に合同会社光明に完全子会社となり上場廃止。

合同会社光明がかなり高い価格で買ったため、株主にとっては有利な展開に。

現在ではみずほグループの一員です(ウェブサイトにアクセスしても、みずほのサイトにリダイレクトされてしまいます)。

 

まとめ

冒頭で挙げた12社は、当時日の出の勢いで不動産業界に名乗りを上げた企業ばかりだったはずなのですが、現在も上場しているのはわずか4社。

買収されるなどして平和裏に姿を消したのは3社、上場廃止基準に抵触したのが1社。倒産したのが残る4社という恐るべき結果です。

今上場されている不動産企業のほとんどは、真面目に事業を展開している企業だとは思いますが、有利子負債をたくさん抱え込んで、猛スピードで成長路線をひた走る姿に、消えていった企業達の面影が一瞬重なるのは、考えすぎでしょうか。

 

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