瀧本哲史「僕は君たちに武器を配りたい」をオッサンになって再び読む~武器なき30代の今~

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処分しようとして、なぜか思いとどまった

この前の三連休だから、8月10日~12日のいつかだったと思う。妻が「マイホーム購入へ向けて」とばかりに断捨離を始めた(まだどこに家を建てるかすら決まらないのだが……)のに触発され、私も不要な本を処分していた。

独身時代の一時期、とにかく「本を読もう」と自己啓発書やビジネス書、売れている本や話題の本を次から次に購入しては読んでいたのだが、今や30代前半という若さですっかり窓際サラリーマンを気取っている私の現状を見るに、その読書が私の血肉となったかどうかは、推して知るべしだ。

という訳で、ほとんど役にたたなかった「実用書」への逆恨み的な断捨離を進めていると、一冊の本が目に留まった。

瀧本哲史「僕は君たちに武器を配りたい」だ。

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読書がマイブームだった7年前に買って読んだっきり、そのままになっていた。

ああ、この本も役に立たなかったな……と思い、処分しようと思ったのだが、なぜかは分からないが、そのまま元の棚に戻してしまった。

そして「瀧本哲史さん、最近全然聞かないな?今どうしてるかな?」などとぼんやり思っていた。

その数日後、実家に戻っていた私は、瀧本氏の訃報に接することになる。

時が実証する正しさ

死去の報に接し、7年ぶりに「僕は君たちに――」を読み返すことにした。読みやすい文章だったため、数時間ですぐ読むことができた(「四季報」で速読が身についたおかげもある)。

医者や弁護士、そしてホワイトカラーといった各種職業のコモディティ化や、メディアの主役が本格的にテレビからインターネットへと移行していく(Youtuberの名はさすがに出ていなかった)ことなど、2019年の今読んだら「当ったり前じゃん」というようなことを、2011年に既に指摘している点はさすがだと思うが、私が特に驚いたのは、「学生の就職人気企業ランキング」の当てにならなさである。

これについては、著者が同書で指摘していることでもあるが、この本執筆当時の最新データとして引用された2009年時点の’11卒文系大学生の就職人気ランキングのリンクを貼っておく。

これは学生が実際に就活を始める前のランキングだということに留意する必要はあるが、10年前に人気1位だったフジテレビジョン視聴率の低下に歯止めがかからず厳しい状態だし、4位電通は2015年に新卒の女子社員が自殺したことで企業イメージは大きく悪化。また、上位に並んだメガバンク各社は数万人単位の大規模な人員削減を発表しており、先の見通しは明るくない。

一方でこうしたランキングに惑わされずに、自分のやりたいことを突き詰めていった若者は、Youtuberや起業家などで大きな成功を収めている。

あくまで自分の頭で考え続けることが大事ということだ。

いつの間にか投資と投機の区別があいまいに

もう30代のオッサンになってしまったので、今更就活の話は関係ないが、この本には非常に身につまされることが書いてある。「FXは中産階級向けパチスロ」というのがまさにそれだ。

このところ、ビットコインの値動きに方向感がないため、下落でも利益を得ようとして、ビットコインFXに手を出してはうまくいかないことが続いている。

下落のリスクヘッジという当初の目的はどこへやら、短い時間でロングとショートを繰り返しているうち、あっという間に損失が膨らみ、せっかく取ったはずの利益をほぼ失う・・・。これではギャンブルと何ら変わりがない。

投資としてビットコインに注目したはずだったのに、いったい当初の理念はどこへ行ったのか。

情けない気持ちが溢れた。

これから何度も読み返したい「武器」

著者の死を期に、実に7年ぶりに読み返した本だったが、若者ではなくなってしまった30代の私にも、十分響くところはある本だった。

なぜもっと早く、自由だった頃に読み返さなかったのか・・・悔やまれてならない。

しかし、結婚し、子供ができたからといって、ガチガチに囚われてしまう必要はなく、制約がある分だけリスクリターンに敏感になり、方向性が定まることもある(自由研究の「自由」って?と途方に暮れることってあるよね……)のだとプラスに捉え、常に思考し、チャンスを逃さないようにしたい。

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