シリーズ企業分析 第3回 ダイナパック(3947)

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四季報を見ていて気になった企業を深堀りする、シリーズ企業分析。前回はじげんを取り上げたわけですが、直後に下落するなど、不安な値動きになったので、いったん投資は控えました。あと経営陣がイキりすぎ。

先に買っていた手間いらずも、購入時から1割近く下げており、不安な感じです。というわけで今回は全然毛色の違う企業を取り上げたいと思います。

その名はダイナパック(コード:3947)

この会社を知れば知るほど、不思議な会社です。この会社安すぎる!

 

そもそもダイナパック(株)とは?

沿革

歴史の古い企業なので、端折って書きます。この会社は2005年に大日本紙業(1962年創業)と、日本ハイパック(1950年創業)が合併してできた企業です。その後も紙業に関連する企業を徐々に吸収合併して、現在に至ります。

中国、ベトナム、フィリピンなど海外にも多くの拠点を有しています。直近ではマレーシアの現地の段ボール会社を買収しています。

事業内容

食品を包装するためのパッケージや、段ボール、緩衝材などを作っています。とってもわかりやすいビジネスモデルです。誰ですか「アナロジー」とか小難しいこと言っているのは。

 

ダイナパックの業績・財務は?

業績

正直ここの業績にはあまり期待していません。

営業利益率も低いし、今期の予想は赤字。営業利益、純利益のグラフが成立してませんね。全然儲かっていない。

 

財務

ここのすごいとこは財務ですよ財務。

17年12月時点での有価証券報告書によれば、総資産657億円のうち、純資産が430億円。自己資本比率65%です。

保有株式

また、保有している主な資産としては、株式、不動産があるわけですが、株式がすごい!カゴメ株150億円、パイロット株23億円、マキタ株20億円・・・(カゴメは昨年末時点での評価額は200億円。この1年で50億円ぐらい評価額が下がってます・・・

今年に入ってからも株式の売却による特別利益を2回計上しており、当面は株を売ってさえいれば無限(いや有限やけど)に、事業の資金が手に入ることになります。

 

不動産

不動産も土地が80億円あります。もちろん、工場とか生産設備については、簡単に売るわけにいかないですが、ダイナパックでは不動産賃貸事業も行っており、東京都墨田区に賃貸マンション、愛知県名古屋市に賃貸駐車場などなど結構持ってます。

墨田区のマンションの土地は、有報では945㎡で1.7億円ということになっていますが、現状墨田区の土地は平均で55万円/㎡ですから、それで計算しなおすと、実際の価値は5億円を超えます。

名古屋市中区の駐車場用地にしても、有報では482㎡で4.3億ですが、現状名古屋市中区の平均地価140万円/㎡で計算しなおすと6.7億円になります。

じゃあこれだけの資産を持つダイナパックは時価総額いくらなのかというと・・・

150億円なんですよ。

150億円ってことは、保有するカゴメ株の分しか評価されていません。残りの株や土地などは全くタダということです。そんなことってありますか?

 

意外と低い自己資本比率の原因は?

また、ダイナパックの自己資本比率って60%台なんです。

こんだけ資産を持っている会社の自己資本比率が6割台ということは、まず思い至るのが、「借金」です。大借金をして、株や不動産を買っているんだろ?ということになりますが、それは違います。

有価証券報告書を見てみましょう。

(ダイナパック 2017.12月期有価証券報告書より抜粋)

負債とか言って、実際は買掛金支払手形なわけですが、特に気になるのが赤で囲った「繰延税金負債」。初めて聞いた言葉なので調べたのですが、ざっくりいうと、「将来的に払う予定の税金」のことだそうです。

じゃあその「将来的に払う予定の税金」っていうのはなにか。
それは今、ダイナパックが持ち株や土地売ったらどれだけ課税されるか、要するに含み益を実現した場合にかかる税金を、あらかじめ「負債」の欄に書いてあるわけですね。

 

ダイナパックは今後どうなっていく?どうすべき?

現在ダイナパックは、2020年までの中期経営計画が進行中なのですが、これについての資料はなぜか見つかりませんでした。公式サイトのIRのページにも載っていません。

そのあたりはちょっと投資家的に納得いかないのですが、つい先日もマレーシアの段ボール企業を子会社化するなど、海外展開を積極的にやっていこうという姿勢がみられます。

また、持ち株についても今年は2回売却するなど、株式市場が好調なうちに、利益を確定しておこうという動きを見せています。

かつて村上ファンドが問題提起したように、理由がはっきりしない株式の持ち合いは止めて、資産があるならどんどん会社の発展拡大のために使っていくのが、会社としてあるべき姿なんじゃないでしょうか。

それができないなら、より有能な経営のできる人間に会社を正当な価格で売るか、配当するか、自社株買いして株主還元をすべきでしょう。

最後にもう一度言います、この会社の価値は安すぎる。

150億の時価総額の過半があれば、400億円を超える土地や株式を自由にできるんですよ?

ダイナパック、おかしな会社です。

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