四季報2018秋全部読む!前回は主に医薬品関係の企業をみてきました。創薬ベンチャーの中で一人気を吐くペプチドリームにはちょっと注目してまいりたいと思いますが、個別企業は記事がかなり渋滞してまして・・・なかなか進みません。
今回は前半は化学(塗料メーカー)、後半はサービス系企業(情報・通信などごった煮)です。
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~ここまでの投稿~
第17回「テンバガーを探せ!2018上場IT企業特集その2」
第16回「テンバガーを探せ!2018上場IT企業特集その1」
番外編②、③「ピーターリンチの株式分類法とは?」 (前編)(後編)
ピックアップ基準(これらのうち複数を満たす企業を中心にピックアップします)
・同業他社と比較してPER、PBRが低いこと
・財務が堅実であること(自己資本比率50%以上、ネットキャッシュ豊富)
・営業利益率が同業他社と比べて高い(できれば10%以上)
・売上高成長率が高く、かつ営業利益の伸びを伴っている
・業務内容などに何らかの個性が感じられる(業界初、唯一の企業)
・その他時事ネタ
あと、業界のベンチマークとして、大手企業を見ることがあります。
特に気になる企業は文字を赤くします。また、企業の特徴に応じて急成長株、市況関連株などの分類を行っていきます。
また、好材料は赤い文字、悪材料は青い文字で書きます。強い材料あれば太字にします。
4611 大日本塗料 ~ 4636 T&K TOKA【化学】
このあたりは塗料メーカーが並びますね。
4611 大日本塗料 市況関連株 塗料国内4位。今年中に30万株・5億円まで自己株取得予定。発行済株数のおよそ1%。予想PER8.9倍。2018年に入ってから株価は下落一方でさえない。2期続けての減益が予想されていることが原因か。しかし、PER的には売られ過ぎかと。
4612 日本ペイント 市況関連株 塗料系では国内トップ。世界でも5位。グループ構成の変化や、決算期の変更で比較がわかりにくいが、営業利益率10%は超えている。ライバルの関西ペイントよりは収益が出やすい体質では。ただ、四季報コメントは「やや鈍化」。
4620 藤倉化成 資産株 電線のフジクラ系企業。好財務のコメント通り。有価証券28億円。土地45億円。ネットキャッシュは90億円。
4626 太陽HLDG 市況関連株 配当利回り3%超え。レジストインキで首位の会社。レジストインキというのは、ざっくりいうと、基盤の緑色の部分のこと。営業利益率は21%。しかし次期以降採算悪化で利益率は低下。
塗料系はあまり人気がないのか、PERが低く、配当利回りが高いです。4631 DIC、4634 東洋インキ、4635 東京インキ、4636 T&K TOKAはいずれも配当利回り3%前後。特にDICと東洋インキはPERも一桁台。
ここからは、サービス系企業、IT、不動産・・・と業種が目まぐるしく変わってわかりにくくなるので、4800 オリコンの前で一旦切ることに。
4640 アンドール~4792 山田コンサルティンググループ【サービス、情報・通信など】
4659 エイジス 市況関連株 棚卸代行で国内断トツ企業。営業利益率は12%と高い。自己資本比率80%程度もあり。株価的にも上下を繰り返しつつも上昇トレンドを崩していない。PERもまだ13倍ぐらいなのでまだ上げ余地あるのでは。
4661 オリエンタルランド 市況関連株(優良株?) ご存知ディズニーランドの運営会社。ここにきてさらにディズニーシーの拡張計画があるようで、22年度中にも完成とのこと。業績面では、営業利益率20%超えで非常に優良。ただし株価はPERが50倍近くあり、高すぎる。
4668 明光ネットワークジャパン 市況関連株 小中高向け個別指導塾の大手。株価的には不安定な動きも、配当は21期連続増配中!ただし、現状配当額が、一株当たりの利益額を上回る(42円>27.5円)ようになってしまっており、このまま増配が続くかというと疑問。営業利益も下落傾向で、増配につられて買っている人は要注意。
このあたりでフジメディアHLDGとかも出てきますが、これは同業他社と一緒にまとめて取り上げます。
4680 ラウンドワン 市況関連株(優良株?) レジャー大手。学生時代はリア充じゃなかったので一度も行きませんでした(憤怒)。売上、利益とも順調に推移。財務的にも自己資本比率50%とまあ安全圏。四季報コメで気になったのが、中学・高校向けの校外学習プランの提案を始めていること。普通はこうしたレジャー施設って、学校から目の敵にされがちなところ、あえて学校に提案するのは逆転の発想で面白い。
4684 オービック 優良株 独立系SIer。キャッシュ潤沢のコメント通り、1000億円をこえるキャッシュ。営業利益率48%は驚異的数字。とんでもない会社だ。気になるな。株価も順調に上昇、3年で2倍。PER的にはちょっと割高。
4686 ジャストシステム 市況関連株 一太郎の会社。社員の不正行為で決算が遅れるなどのトラブルも、業績自体は非常に良い。18.3月期の営業利益率は25%。その割に配当出さないなあ・・・。
4689 ヤフー 市況関連株 ご存知ネットサービスの先駆者。もう20年になるんですなあ。売上は順調に増加しているが、営業利益は減少傾向。つまりは採算悪化傾向。かつてのネットベンチャーも厳しいか。ただ、料理動画アプリの会社を買ったりして、新展開へ。
ヤフーもかつては急成長株の一端だったものが、いまでは市況関連株になってしまっている。これが低成長⇒業績回復にならなければよいが。
4704 トレンドマイクロ 市況関連株 セキュリティソフトの会社。保護すべきデバイスがスマホの登場で爆発的に増加したこともあり、2013年以降は順調な成長を続けている。配当も積極的。営業利益率高く25%に迫る。
4714 リソー教育 市況関連株 配当性向100%で予想配当利回りが2.7%。業績の伸びも順調。株価の上昇がすごくて、15年には161円だったのが、今では(10/19)1078円と、7倍。18年以降は足踏みが続いていたが、秋に入ってから再上昇。
4716 日本オラクル 市況関連株(優良株) データベースソフトOracleの会社。業績は震災以降ずっと上昇中。逆にそれ以前結構不安定。配当も安定的に推移。株価は18年以降は軟調に推移。今後大きなリセッションがあった際に、どう立ち回るかでこの株の真価がわかるが・・・。
4732 ユー・エス・エス 市況関連株 中古車オークション会場の運営会社。国内では断トツ。ここは営業利益48%と半端ないことになっている。財務もよい。ただ、今後の成長可能性は・・・。いわゆる「鳥なき島の蝙蝠」といった感じか。株価も軟調。
4733 オービックビジネスコンサルタント 市況関連株 オービック傘下。勘定奉行の奉行シリーズを作っている会社。最近ではクラウドに注力。借金はなく、ネットキャッシュが870億円もある。営業利益率も40%を超える。
4755 楽天 市況関連株 ネット通販の国内大手。このところ急拡大路線で、来年からは楽天モバイルもスタートする。携帯キャリア三社にどこまで食い込めるのか。このブレーキの壊れた投資路線のために自己資本比率が低い(10.5%)ので、危険。しかもこの3年間、猫も杓子も株価を上げているにも関わらず、同社株価は下げに下げ、3分の1以下になってしまった。売上高が伸びているのはいいが、利益がついてきていない。株主怒るよ?
4765 モーニングスター 市況関連株 投信のデータ販売と運用、セミナーの三本柱。ソフトバンク系。営業利益率27%と高く、今後の予想業績も堅調に推移。自己資本比率も90%に近く、安定的な企業。
4792 山田コンサルティンググループ 経営コンサル大手。事業承継に強い。すでに経営者が高齢化している企業はいくらでもある。ということは、今後需要の伸びる会社だろう。営業利益率も高く、20%を超えている。増配も毎年続いており、好調。
まとめ
今回は塗料系企業と、サービス分野の企業を見てきました。気になったのはオービックぐらいかな。ただここは創業社長(馬主でもおなじみ野田さん、御年80歳)がずーっと引っ張っている会社なので、この後がどうなるかというのが不安・・・。そのほかはユー・エス・エスですが、ここは中古車市場の会社なので、正直どこまで広げていけるかなといったところ。
また、この3年ぐらいずーっと下げ続けている楽天はいったいいつ反転するのか。このままで終わる会社とは思いませんが、あまりにも自己資本比率が少なく、危ういです。
それから山田コンサルティングは、事業承継とか企業再生とか、まさにタイムリーな会社なので、これからどうなっていくか・・・またちぇっくしなければ。
次回は、4801 オリコン(昔は小池社長でおなじみでした)から、4999 セメダインまでを見ていく予定です。いよいよ会社コード的には半分終わったことになりますが、明らかに残りのページが半分以上あります。このあとの企業をぺらっとめくると、機械や金属など、文字通りかたーい会社ばっかり。
まだまだ先は長いです。いい加減にしないと次の号出ます。
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