四季報2018秋全部読む! 第6回 寄らばJTの陰

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個別企業の記事を挟んじゃったので、しばらく間があきましたが、今回は第6回目。2501 サッポロHDからのスタートとなります。

 

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~ここまでの投稿~

第5回「いろいろ熱い!情報通信・サービス業界」

第4回「儲かりまへんなぁ食品業界」

第3回「分け入っても分け入っても建設株」

第2回「強い企業はどこだ?」

第1回「巻頭特集でお腹いっぱい」

 

ピックアップ基準(これらのうち複数を満たす企業を中心にピックアップします)

・同業他社と比較してPERまたはPBRが低いこと

・ネットキャッシュが多いこと(時価総額よりおおきければ尚よし)

・営業利益率が同業他社と比べて高い(できれば10%以上)

・売上高成長率が高く、かつ営業利益の伸びを伴っている

・その他時事ネタ

あと、業界のベンチマークとして、大手企業を見ることがあります。
特に気になる企業は文字を赤くします。

2501 サッポロHD~ 2613 Jオイルミルズ【食料品】

まずはビール大手四社をざっと比較。

2501 サッポロHD 国内4位。大手四社の中でも特に営業利益率が低く、苦しんでいる印象。四季報コメントも厳しめ。ネットキャッシュは▲2000億円以上と、設備投資に金がかかるのを除いてもきつい。大手とはいいつつも、残りの三者からはかなり引き離されてしまっている。

2502 アサヒGHD 首位。さすがにトップだけあって最高益と好調。海外展開も積極的。しかし有利子負債1兆円越えは……。ただPERはまだ10倍台なので上昇する余地はある。

2503 キリンHD 2位。やはり首位より営業利益率が高い。トップを取ろうとすると、儲からないこともやらなきゃダメなのかもしれない。四季報コメは「一歩後退」としているが、直近期(17.12月期)が好調過ぎただけでは。

2587 サントリー食品インターナショナル ビールは3位、国内飲料全体では2位。四季報コメ通り、順調な伸びで、かつ利益率も改善している。財務的にはここがいちばんネットキャッシュ(借金)が少ない。

一番いいなと思うのはやはり2503 キリンHD。

 

2573 北海道コカ・コーラボトリング 財務がよい。ネットキャッシュ88億円はなかなかによい。ただし株価はこのところ崩れてきている。さらに北海道胆振東部地震の影響もこれから出る。

2590 ダイドーグループHD 株価の動きが規則的で面白い。ここ1~2年は崩れてきているが、このサイクルに復帰したら・・・。

2602 日清オイリオG 最高益と言いつつも、営業利益率は3%もない。やはり食品は構造的に儲かりにくいのか。ただ、配当利回りが2.1%(9/28)とまあまあで、PERもPBRも低く、まだまだ割安。

2612 かどや製油 ごま油国内首位の会社。やはりニッチ部門のトップだけあって営業利益率は10%を超えている。有利子負債なく、好財務といってよい。ただここ数年あげ過ぎたつけが出ているのか、今年に入ってからの株価はあまりぱっとしない。

食品は、あまり気になる企業がありませんでした・・・。利益率が低く、設備にお金がかかるせいか財務的にもあまりお金のない会社が多いですね。特に割安というわけでもないし。優待がほしいといえば欲しいですが、普通に買えばいいし。

 

2651 ローソン~ 2798 ワイズテーブルコーポレーション【小売業・卸売業】

2651 ローソン コンビニ大手。売上は順調も、営業利益は下げ基調。銀行への進出は多角化ならぬ「多悪化(byピーターリンチ)」じゃないか。配当利回りは3.7%と非常に高い。

2670 ABCマート 靴小売最大手。営業利益率が高い。配当利回りも2%程度とそれなり。そして小売には珍しく自己資本比率が非常に高い(85%)。ネットキャッシュが1200億円もあり、金持ち企業といっていい。我が社もよくここで靴を買う。

2714 プラマテルズ 合成樹脂原料の専門商社。配当利回りは3%と高くてPER,PBRとも低くて割安。ただ有利子負債多くて自己資本比率が低い。業績的には利益率が低い。

2726 パルグループHD 衣料品、雑貨「3コインズ」を展開。裏日本にはないお店。最高益。次期以降も好調で、配当利回り高くて割安。ネットキャッシュも200億以上。時価総額の1/3に上る。

2753 あみやき亭 東海地盤の焼肉チェーン。有利子負債なく好財務。利益率も10%近い。安定した成長ぶりで配当利回りも2%台とまあまあ、PERもまだ13~4倍。

2792 ハニーズHD 女性向けカジュアル展開。業績回復株。自己資本比率高いが、在庫で押し上げているだけ。ただ、ネットキャッシュは80億円近くあり、資金に余裕あり。営業利益率は5%から改善していく見通し。

2795 日本プリメックス ミニプリンタ専門卸の最大手。株価がさえないためPERは12倍台と割安。利益率もよく、配当利回りも2.5%越え。時価総額45億と小さく浮動株少ない。ネットキャッシュ13億。仕手が入れば・・・。

やはり小売や卸売業というものは、生産者と消費者の間に入る立場ですから、両者の板挟みになって、彼らが身を削ってくれることで、我々消費者が安くて質の良いものを手にできているという側面があります。

ですから投資的な側面から見ると、利益率が低く、また財務も苦しく、買いたいとおもう株がほとんどありませんでした。ニッチトップだったり、付加価値をつけやすかったり、押しも押されもせぬ最大手様だったりすると、また違うんですけどね。

それでは再び食品株です。2801 キッコーマンから。♪幸せってなんだーっけ なんだーっけ・・・。

 

2801 キッコーマン~ 2931 ユーグレナ【食料品※RIZAPはサービス】

2801 キッコーマン しょうゆうこと(言いたかっただけ)。四季報コメントが【駆け馬にムチ】と面白い。これだけの大企業が1割ずつ純利益ベースで成長していくのはすごく勢いがあるとは思うが、目下PERは40倍と割高で過熱気味。幸せって何だっけ?

2806 ユタカフーズ 東海地方の食品会社。無借金経営で堅実。ネットキャッシュ58億、時価総額178億。上期に株売却特益。ただ20.3月期は減益予想なので注意。

2811 カゴメフーズ 営業利益は順調に成長。本業が好調の証。ただし純利益は横ばい。PERは27倍台後半であまり割安でない。ネットキャッシュはマイナス。

2814 佐藤食品工業 天然調味料エキス一本の会社。2022.3月期には売上高100億円目標を大きく出ている。(18.3月期は66億円)ベンチャー並みの成長しないと無理だろう。ただ、営業利益率は食品業界に珍しく10%を超えている。ネットキャッシュも50億円以上あって資金潤沢。PERも10倍前後と割安。

2815 アリアケジャパン 天然調味料トップ。営業利益率2割近く儲かり体質。売上、営業とも堅実な成長が見込まれる。ただしPERは35倍程になっていて割高。財務は自己資本比率80%以上、ネットキャッシュ170億。

全然私好みの儲かり体質の企業がない・・・。

2875 東洋水産 「マルちゃん!」でおなじみ。アメリカやメキシコでは即席めん圧倒的首位。メキシコでは物事を手早く済ますことを「マルちゃんする」といういうそうな。営業利益率は6.8%。食品としては高い。地味に売上・利益とも伸びつつあるが、PER23.5倍なので、株価的にはここいらがちょうどいいところ。

2897 日清食品HD 会計方式がIFRSに移行したため、売上高が755億円目減り。IFRSについては会計素人のため全くわからんのですが、ここまで変わるのか。 株価的には割安ではない。営業利益率7.9%は食品としては高水準。

2902 太陽化学 営業利益率10%。配当高い。ネットキャッシュ89億円と好財務。あとはもうちょっと成長してくれれば。PERは12倍とまだまだ割安。

2907 あじかん わが社的にはそうでもないが、四季報のコメントが【ウハウハ】という面白いものだったので、取り上げる。ウハウハてwセンスがオッサン。さてそのウハウハの理由は、主力商品ゴボウ茶の売上。2017年度に32億円だったものが、19年度には50億円予想とのこと。確かにこれはウハウハ。ただ、営業利益率が3%行かない水準でウハウハ言われましても・・・。

2909 フジッコ 煮豆首位。まあ他社の煮豆知らないですけど。営業利益率8.5%。ネットキャッシュ120億。PER16倍。連続最高益で好調な様子がうかがえる。

2914 JT 完全な資産株。配当利回り5%出るんだし、下手な地方債買うよりはるかに良いと思う。PERも14倍とまだ割安。営業利益率26%!とんでもない優良株じゃないか。1億買えば税引き後の配当が約400万円もらえて、もう働かなくても良くなるという。

2928 RIZAPグループ 危うさしか感じない。経営不振のよくわからない会社をドンドン買収する、典型的な「多悪化」企業。本業で十分やれるのに、全く謎。会社側もさすがに気づいた様で、子会社売却の可能性あり。もし子会社が上場会社だったら、株主無惨。子会社の株主は逃げた方がよい。

2930 北の達人コーポレーション 成長率が20%を超えていてすばらしい。財務的にも自己資本比率高く、しかもほとんど内訳は現金。ただし、PERは現段階で59倍と大変割高。今からはちょっと入りづらい。

2931 ユーグレナ 以前はここの商品を毎月とってた。高いのでやめたけど。かつて社長さんの講演を聞いて感銘をうけたのだけど、さすがにもう燃料関連は撤退した方がいいのでは。バイオ事業がこの会社のガンになってしまっている。燃料関係は政治的な力関係もあり、現状の構造が打破されるとは到底思えない。おそらく技術的にどんなに実用化レベルでも、規制で潰しにかかると思う。

まとめ

今回は、小売、食品企業を見て来ました。テレビのCMでおなじみの企業や、日常よく利用する企業が出てきて、親しみを感じつつみることができたわけですが、投資対象としては・・・。

ただそんな中でも気になった企業はあって、2670 ABCマート、2795 日本プリメックス、2902 太陽化学、2914 JTの4社は、安定した財務状況であり、かつ成長性もあり、割高感が無いという視点で選ばせてもらいました。

ところで、今回からピーター・リンチ流の株の6分類(急成長株、優良株、資産株、市況関連株、業績回復株、低成長株)を、加えることにしました。ピックしていくうちに「あれ、これなんで選んだんだっけ?」となりがちだったので。

ABCマート、日本プリメックス、太陽化学は資産株、JTは市況関連株+資産株+低成長株という分類かな。JT属性多すぎ。なんでJTこんなに人気ないんだろう。斜陽産業の独占企業は、ライバルが絶対入ってこないから買いなのに。

次回第7回目は、繊維業界(なじみゼロ)の3001 片倉工業から。

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