ビットコインキャッシュ(以下BCH)が揺れています。
2017年8月にビットコインから分裂する形で誕生したBCHですが、来週11月15日にハードフォークにより、さらなる分裂を迎えようとしています。
しかし、ブロックサイズという明確な争点のあった去年8月のBCH分裂と違い、今回はどうもよくわからないという人が多いようです。
そこで、11月10日夜にこの問題をテーマに放送された「ビットコイナー反省会」の内容を要約をお伝えすることで、そもそもの「コインの分裂」や、BCHホルダーのとるべき行動についての理解の一助になればと思います。
動画はこちらにありますが2時間近いです。これ全部見て、見ながらようやくメモ書いてたら知恵熱出そうになったわ・・・。
まあ当社はBCH全部Zaifにあるんで取り出せないんですけどね。
内容的に、時系列に沿っていないところや、技術的過ぎてついていけないところはカット。おおむねBCHの分裂騒動の概略をつかめるようにまとめました。
出演者
司会:東 晃慈 氏(フルタイムビットコイナー)
ゲスト:雨弓 氏(BCHユーザー代表、BCH版メルカリを開発中)、宇佐美 峻 氏(Yenom開発者)
宇佐美氏による用語解説
フォーク・・・ソフトウェアのアップデートのこと。今話題の「ハードフォーク」とは、新しいルールや機能の追加を伴うもので、その逆に機能の整理、縮小を伴うものは「ソフトフォーク」と呼ばれる。
スプリット・・・あるブロックチェーンが複数の正統なチェーンに分かれてしまうこと。
ブロックチェーンは、チェーンの長い方を正統とするルールだが、それは同じルールの範囲内だけ。例えばビットコインとイーサリアムのブロックチェーンが共存できるのは、ルールが違うから。
コインの分裂・・・BCHのチェーンがスプリットしても、それがそのままコインの分裂につながるわけではない。異なるチェーン上で動く2つのコイン双方に市場価値が存在して初めて「コインが分裂した」といえる。
リプレイプロテクション・・・コインAを送金すると、コインBも送られてしまう事故を防ぐ技術のこと。分裂したコインはそのままではトランザクションの形式が全く同じで、区別がつかない。このため、分裂したコインのうちいずれかが、トランザクションの形式を少し変えて、同時送金を防ぐ。これをリプレイプロテクションという。
Bitcoin ABC VS Bitcoin SV 両者の対立について
Bitcoin ABCやBitcoin SV というのは、ビットコインを動かすためのアプリケーションのこと。同じ電話をかけるのでもiPhoneやAndroidでアプリケーションが違うのと同じ。
Bitcoin ABCはジハン・ウー率いるBitmain社が中心で、Bitcoin SV(SVはSatoshi’s Visionの略)はクレイグ・ライト率いるnChainが中心。(以下、双方をABC、SVと表記)
そもそもBCHは定期的にハードフォークを行っているが、ABC主導の今回のフォークで追加予定の機能に異議を唱えたクレイグ・ライト側が別の仕様を提唱したのがSVであった。
既にBCH(ABC)、BCH(SV)ともにPoloniexで先物が売買されており、価格的にはABC:SV=7:1 で市場の評価は圧倒的にABC側が高い。
通常コインが分裂する場合、リプレイプロテクションを装備することでユーザー側の混乱を避ける(BTC⇒BCH分裂の場合も)が、今回は両陣営が自らを正統とみなしているためにリプレイプロテクションがなく、混乱が大きくなる可能性がある。
特にSV陣営を率いるクレイグ・ライトがやたらと好戦的で、このことが混迷を深める一因となっている。
事態はなかなか決着しないかも・・・
もし11/15以降予定通りチェーンがスプリットして、ABCとSVにコインが分裂した場合、いったいどうなるのだろうか。
リプレイプロテクションがないことによる混乱の拡大が問題だが、その一方でSV側がリプレイプロテクションを装備した場合も、それはそれで面倒だと宇佐美氏は語る。
その理由はこうだ。
ABCとSV両者が正統性を主張して争い、いずれかが消滅する展開になれば、宇佐美氏のような事業者側は生き残った方だけに対応すればいいが、SVがリプレイプロテクションを装備してしまうと両コインが共存してしまうので、両コインに対応する形でサービスを改修する必要が生じ、事業者の負担は大きい。
しかし、現状ではどちらかだけが生き残る「完全決着」は難しいだろう。
先述したPoloniexは両コインの先物を既に取り扱っているし、BinanceやCoinexのように、分裂後のコインを両方取り扱う方針を示したところもある。この場合、SVに投機的な需要があつまり、価格的にABCに迫る可能性がある。そうなるとマイナーがSV側に集まり、決着が長引くor決着しない可能性がある。
なお、国内取引所はSV側のコインに対して金融庁からの認可が下りていないため、扱うに扱えないのが現状である。(Quoineは早々にSVには対応しないと発表している)
BCH自体への影響も・・・?
今回の騒動に対して、BCHユーザー代表として出演した雨弓氏は「こういうことしているとBCH自体がダメにみられる可能性がある」と心配な様子。
宇佐美氏も、今回の騒動はBCHにとっていいことは一つもないとの見方であった。
また、司会の東氏も「BCHはロードマップに従い定期的なハードフォークを行うので、今後同様のことがハードフォークのたびに起こるのでは」と危惧していた。
※イーサリアムがPoS移行を検討しているのもこうした混乱を避けるため、というのが原因。ちなみにイーサリアム創始者のヴィタリックは、ABC寄りで、クレイグを批判している。
質疑応答
放送を見ていた視聴者(+東氏)からの質疑応答
質問:妥協案としての第三案、HF中止の可能性は?
回答:もうすでに11/15にHFが起こることを織り込んで事業者以下は対応を進めており、現実的に中止はありえない。第三案も難しいのでは。
質問:BIP135(※ABC,SVとは別の事業者(Bitcoin Unlimited、以下BU)が提案する形式、ABC,SV側の提案を是々非々でマイナーの投票で導入を決めるいわば第三案)についてはどう考えるか?
回答:BIP135はBUを利用しないと使えない。事業者が今からBUを導入するのは困難だ。
質問:SVの方が価格あがる可能性は?
回答:それは事業者やユーザーがみんなSVに対応することが必要になる。現状はABCが多数派なので、SV導入は事業者側の負担が大きく、まず変えない。価格がたとえ上昇しても変更するのは大変だ。
質問:今回の騒動でBCHが無価値になる可能性は
回答:無価値になるとはいえないが、騒動自体が長期化すると価値は毀損していく一方だ。
まとめ
事業者(宇佐美氏)としては事態を静観しつつ、対応していくしかない。ユーザー(雨弓氏)としてもできることはない。(※ただし、コインの分離は可能(宇佐美氏補足))
宇佐美氏は、BCH分裂騒動とは無関係に、今後ビットコインを使ったDappsに注力していきたいと考えている様子。雨弓氏は、今後の情勢次第では、いったん手持ちのBCHを手放すことを検討している様子。東氏も今後の展開を予想する動画をアップロードする予定。
当社の対応としては・・・いやだから全部Zaifに入れっぱなしだから!何もできないから!(※ビットコイン保有歴5年)
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