四季報2018秋全部読む! 第14回 高分子ナノ有機フッ素化合物的な

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四季報2018秋全部読む!前回は、世界同時株安に怯えながら、紙・パルプ業界と、情報・通信業界の急成長株にフォーカスしてきました。

今回は4004 昭和電工から4275 カーリットHLDGまでダーッと化学系企業を見ていきます。ピーター・リンチ曰く「優良株と市況関連株は見間違いやすい」そして「化学は市況関連株」だと発言していますが、確かに一部優良株と見まごうような、力強いチャートアクションを見せる株がいきなり出てきます。

ここまでほとんど出てこなかった化学セクターの株たちはいったいどんな特徴ある企業なんでしょうか。さっそく見ていきましょう。

 

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~ここまでの投稿~

第13回「下げ局面で成長株投資はやめとけって・・・」

第12回「きれいなチャートと10倍株」

第11回「コーエーの野望」

第1回~第10回まとめ

番外編「あの不動産企業は今」

番外編②「ピーターリンチの株式分類法とは? 前編」

 

ピックアップ基準(これらのうち複数を満たす企業を中心にピックアップします)

・同業他社と比較してPER、PBRが低いこと
・財務が堅実であること(自己資本比率50%以上、ネットキャッシュ豊富)
・営業利益率が同業他社と比べて高い(できれば10%以上)
・売上高成長率が高く、かつ営業利益の伸びを伴っている
・業務内容などに何らかの個性が感じられる(業界初、唯一の企業)
その他時事ネタ

あと、業界のベンチマークとして、大手企業を見ることがあります。
特に気になる企業は文字を赤くします。また、企業の特徴に応じて急成長株、市況関連株などの分類を行っていきます。

また、好材料は赤い文字、悪材料は青い文字で書きます。強い材料あれば太字にします。

 

4004 昭和電工 ~ 4275 カーリットHLDG【化学※一部例外あり】

総合化学大手四社を見てみよう

正直化学業界には造詣が全くないので、化学業界についてのお勉強を。まるで就活生ですが、業界研究です。

【化学業界徹底研究】ニュースや主要企業5社~志望動機例文もご紹介~

ここで紹介されている5社のうち、信越化学工業だけは毛色が違うので別途紹介するとして、総合化学大手四社(三菱ケミカルHD、住友化学、旭化成、三井化学)を比較します。

どこもほとんど似たような数字ですが、旭化成のPERの高さ(=買われている)が気になります。一番数字的に見栄えがいいのは住友化学ですかね。

10/11のブラックサーズデイ以降の数字とは言え、PERが非常に低いです。配当利回りも3%を超えており、まだまだ割安なのかなと思います。

ちなみに各社の今後の見通しですが、旭化成は今後は自動車向けに注力する方針で、米国の自動車内装メーカーを買収。住友化学はインドの農薬子会社をインド首位へ育てるという遠大な目標。三井化学は、ポリプロピレン生産設備を新設。三菱ケミカルは子会社の田辺三菱製薬がカナダと欧州でALS(筋委縮性側索硬化症)薬の承認を申請中と、各社とも勢いがあります。

以下、個別企業で気になったところをピックアップしていきます。

 

4004 昭和電工 市況関連株 ハードディスク外販首位。石油、ガス、アルミなど幅広く扱っていますが、こういう企業は原料の価格や、商品の需給に左右されるため業績予測が立てにくいといわれています。しかしチャートだけ見ていると、本当に優良株そのものといった感じ。

この2年でみると約300%上昇をしているわけで、黙って持っていれば4倍ということ。

ところが売上高を見ると13.12月期に8,478億円16.12月期に6,711億円17.12月期には7,803億円という動きを見せているあたり、業績が読みにくさが伺えます。

ただし、営業利益は着実に上昇を続けています。前述の13.12月期には3%がやっとだった営業利益率が18.12月期予想では17.2%にまで改善しています。

4021 日産化学 市況関連株(優良株?) 化学肥料からスタートして、液晶や農業が収益の柱になっている。ここも一本調子の上昇チャート。これ優良株じゃね・・・?また、リーマンショック直後の09年、東日本大震災発生の11年の2年を除けば、2006年以降毎年自己株を取得している。ちゃんとEPSのこと考えてるのが(世界的には当たり前とはいえ)偉い。

実際、農業や医薬品が中心なので、あまり市況とは関係ない(不景気だから薬飲むのやめようとか、農薬まくの止めようとはならない)ような印象はある。化学だからと言って、一概に市況関連で不安定とはいえないのかもしれない。

4044 セントラル硝子 市況関連株 ガラス国内3位。売上横ばいで、営業利益は下げ。ただここは旧村上ファンド系の投資ファンドが5%強の株式を保有しているということで、何かの動きがあるかも。注意。

4063 信越化学工業 市況関連株or資産株 半導体シリコンウエハで世界首位。好財務のコメント通り、自己資本比率82.2%。ネットキャッシュは7700億円もあり、現金たっぷり。有価証券報告書によれば株式も700億円以上保有。売り上げが少し不安定だが、利益は伸び続けている。

4082 第一稀元素化学工業 資産株? 以前はここを注目していたが、いろいろ見て回った後では、さほどでもないなぁという感じ。

4091 大陽日酸 市況関連株 三菱ケミカル系で産業ガス首位。6400億円も売上のある大企業が子会社とはさすが。また、現在超大型買収案件が進行中で、これが寄与すれば売上1,600億、利益300億が加わることになる。ただし、この買収のために使った金額6,300億円。これはほとんど借金で、バランスシートは大いに悪化。

4095 日本パーカライジング 市況関連株 金属表面処理で首位。連続増配と好調。ネットキャッシュが500億円。売上、利益とも堅調。

4097 高圧ガス工業 市況関連株 溶解アセチレン最大手 溶解アセチレンはとても爆発しやすく、取り扱いが難しい一方で、自動車や半導体を作るのに欠かせないため需要が大きい。このため売上、利益とも堅調。ただし、原料も高く、これが利益の圧迫要因。自己資本比率高く、ネットキャッシュも豊富。

4109 ステラ ケミファ 市況関連株 電子部品用フッ素高純度薬品でシェア国内7割、世界8割。フッ素はリチウムイオン電池や、半導体の製造に必要。これがバフェットのいう「堀」なのか。会社予想と四季報予想の乖離が大きく、会社予想純利17億⇒四季報予想24億と1.5倍弱。一族経営で親戚同士で社長を回している状況。それが強みなのか、弱みなのか・・・。

4151 協和発酵キリン 市況関連株 医薬品やバイオの会社。営業利益率が10%以上と高いが、過去の推移をみると不安定。向こう2年は好調。増配続く。しかしチャートはさえない。

4189 KHネオケム 市況関連株 KHは旧協和発酵に由来。エアコンの冷房に使われる油の原料を作っており、世界的にも高シェア。ここは2016年に上場してからの株の伸び方がすごい。ほとんど下落ないまま1100円台から4000円台へと駆け上がってしまった。売上高は浮き沈みするが利益は伸びる一方。その割に増配が足りない。

4204 積水化学工業 市況関連株(優良株?) 10期連続営業増益、9期連続増配はまるでアメリカの優良企業みたい。この企業は良く見かけるがやってることは住宅、ライフライン、プラスチックなど。ただ営業利益率が低い。1割は欲しいところ。

4206 アイカ工業 市況関連株 メラミン化粧板で国内首位。メラミン化粧板っていうのは、家具の表面に張り付けてある木目とか模様の入った薄い板のこと。あれってここが作っていたんだなぁ・・・。最高益を更新して非常に順調。営業利益率も10%を超えていて優秀。また、チャートもいい感じの上昇。

4272 日本化薬 市況関連株 半導体向け製品や、医薬品、自動車部品に売上、利益とも不安定ながらも営業利益率10%は超えている。株価の動きも不安定。昨年秋のピークからほぼ2/3まで下げてしまっている。

 

まとめ

化学系は難しい・・・。商売のスキーム自体は決して複雑ではない(原料仕入れる⇒作る⇒売る)のですが、実際作って売っているものが、見たことも聞いたこともない謎の物質だったりすると、その原料の価格も気にしなきゃいけないし、投資するのは正直難しいです。

次回は再び情報・通信系に戻りますが、やや老舗(01年ごろ情報)の企業が多いです。それこそ前回のITバブル時に持て囃された企業たちのの成れの果て・・・IPOの墓場みたいな感じです。

 

 

 

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