シリーズ企業分析第2回 (株)じげん(3679)

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シリーズ企業分析、前回は手間いらずを取り上げましたが、今回は同じく情報・通信業界から(株)じげん(3679)について調べます。

 

そもそも(株)じげんとは?

沿革

株式会社じげんは、2006年にドリコムから分社化して設立され、09年から現社名に変更されました。その後ドリコムの傘下を離れ独立、13年にマザーズに上場、今年6月に東証一部に上場しています。

ちなみに社名の由来は「二次元」「三次元」の「次元」です。

 

事業内容

じげんの事業内容は一言で言えば「情報サイトのまとめサイト」です。

例えば引っ越し一つとっても、多くの業者が存在するうえ、それらをまとめた情報サイト自体も多く存在しています。

じげんではこれら情報サイトの情報を網羅したうえで、一括で見積もりを依頼して、条件のもっともよい業者と契約することができます。

こういったある特定の分野に特化したウェブサイトのことをバーティカルメディア(垂直型メディア)と言います。引っ越しという分野を垂直に掘り下げていくイメージですね。

 

(株)じげんの業績・財務は?

業績

(株)じげんの業績はまさに右肩上がり。毎年売上高、利益とも2割程度の成長を維持しています。さすがに急成長企業です。

利益率も非常に高く、18.3月期の営業利益率が32%、続く19.3月期が30%、20.3月期が31%と高水準での推移が予想されています。

 

財務

財務面では、自己資本比率66.3%と高いです。

有利子負債は18.3月時点で約31.7億円、第一四半期終了(18.6月)時には約27.5億円まで減っています。順調に借入金を返済できています。

現金同等物から有利子負債を差し引いたネットキャッシュも18.6月現在で約41.8億円と余裕があります。

また、じげんでは積極的にM&Aを行っており、2016年に31億円で名古屋の求人広告企業「三光アド」、17年には14億円で海外旅行の予約サイトを運営する「アップルワールドHLDG」を買収しています。

じげんがアップルワールドHLDGを買収した際の資料によると、じげんは買収した企業の売上を大幅に上昇させており、単なる「多悪化」としての企業買収ではなく、きちんと効果が出ているようです。

 

じげんの今後は?

長期的には営業利益100億円が目標

2016年にじげんが策定した2017年~21年の中期経営計画によりますと、2021年3月期には50億円の営業利益を、さらに先の長期目標としては、営業利益100億円を達成することとしています。

先ほどの業績予想によると、20年3月期で既に50億円の営業利益予想が出ていますので、この中期計画は達成可能と見てよいでしょう。

また、これにはM&Aによる上昇分は含まないので、今後さらにM&Aを行えば、これ以上の発展も可能ということになります。

 

時価総額一兆円!?

また、じげんでは「時価総額一兆円」という途方もない目標をぶちあげています。現状の時価総額は959億円で、株価が859円(10/5)なので、一兆円達成時の株価は8960円です。

もしPER20倍で計算すると、純利益ベースで約500億円は達成しなければなりません。もう少し甘めにPER30倍で計算しても、約330億円です。

長期計画の営業利益が100億円ですからね。これはかなり厳しい数字であるといわざるを得ません。

ちなみに時価総額一兆円前後の企業をスクリーニングしてみると、古い企業で味の素ヤマハ阪神阪急HLDG。新しい企業でも、LINEZOZOといった有名どころばかりです。

ZOZOが設立されたのは2000年、上場が2007年で一兆円達成が2017年ですから、設立17年、上場10年で達成。

LINEも同じく2000年設立で、上場が2016年。上々と同時に一兆円を達成しているので、設立16年で達成。

じげんは設立が2006年ですから、設立12年。あと4~5年で追いつけるのでしょうか・・・。

 

(株)じげんのリスクは?ライバルは?

じげんについて、同業者との違いを詳細に分析してくれている記事があるので、リンクを貼っておきます。

【メディア運営】「じげん」と「ウェブクルー」と「クートン」の3社を比較 - クートンブログ
ビジネスモデルが近い上場企業と当社の事業を比べてみました。インターネットの情報サイトや比較サイトを運営している会社は本当に多いです。その中には上場している企業も少なくありません。例えば、ミクシィはSNSを提供し、価格.comは比較情報を提供しています。All Aboutはお役立ち情報を提供していますし、イードはRBB ...

3年ほど前にかかれた記事ではありますが、他社との違いが分かりやすかったです。広告宣伝費や人件費といったコストをじげんは他社より抑えることで、30%を超える高い営業利益率を出せていることがわかりました。

なお、同業他社であるウェブクルー社は(株)ニュートンフィナンシャルコンサルティングに既に買収されています。

また、事業上のリスクとしては、各情報サイトからの成果報酬が売上を多くを占めるため、大手(Yahoo!など)や別の企業がさらに便利なまとめサイトを作って、ユーザーがそちらに流れてしまうリスクが挙げられていました。

 

ぶっちゃけどう思う?~定性的な評価として~

ザ・意識高い企業

ここまで事実や数字を基にして定量的な評価をしてきました。もちろんそういったことも重要ですが、最後は「直感」が重要です。

公式サイトや社長(イケメン)のメッセージなどから感じる第一印象としては「意識高いなぁ・・・」という点。

グループの行動規範として「ぐるぐるPDCA」とか「破壊的創造」とか、個人的にはあまりなじまない(笑)ワードがたくさんありました。今後グループを拡大させていく上で、こういった意識高い感じの企業文化をグループ全体にまで浸透させていけるのか・・・。

社長のメッセージもすごいです。一部抜粋しますと

インターネットが誕生して40年超。WEB上に混在する各情報のひとつひとつを点と見立てると、点同士を結びつけて出来る面がWEBサイトに、そして複数のコンテンツを保有するポータルサイトは立体(3次元)になります。さらに、検索エンジンを宇宙(4次元)とするならば、じげんの展開するライフメディアプラットフォームは、余剰次元をアナロジーとして捉えることができるかもしれません。

アナロジーって何だっけ?と思わず調べましたもん。(※アナロジーとは類推、類比のこと)要するに(株)じげんのサービスは、ポータルサイトよりもさらに上の次元にいるよーという意味ですね。これ普通の投資家とか顧客には難しすぎます。

 

SNSやネット掲示板での評価は?

前回「手間いらず」に投資したきっかけは、Yahoo!ファイナンス掲示板で見かけた株主総会での株主と企業側の非常にレベルの高いやりとりでした。また、掲示板の民度が高く、無意味な罵り合いや買い煽り、売り煽りもありませんでした。

それでは、(株)じげんはどうでしょうか。個人を晒すようなことはしたくないので、スクショは貼りませんが、数名荒らしと思しき人物がスレッドに出入りしているようです。仮想通貨やってた時の経験則なのですが、参加者の民度が下がるほど、価格は頂点に近づくんですよね。

今のじげんのスレッドがどれぐらい「低い」かは判断しきれないですが、現状PERが30倍を超えていることからしても、短期的にはまだ「割高」なのかなとは思いました。

一方、twitterで(株)じげん(※「じげん」だけだとノイズが多いので)と検索しても、さして荒れた様子はなく、買収された子会社の成長をチェックしているツイートがあったりするぐらいでほとんどつぶやいている人はいませんでした。

 

チャートはどんな感じ?

テクニカルは不得意なので、チャートを乗せるくらいにします。過去2年の値動きです。参考に日経平均との比較チャートも載せておきます。
赤が日経平均青がじげんです。どんなにいい銘柄でも、日経平均(欲を言えばダウ)に勝てなければ意味がないということで今回から掲載します。

こうしてみると、2017年~2018年前半まではじげんのパフォーマンスが買っていますが、年後半以降は日経に追いつかれちゃってますね。

ここから日経を突き放せるのか、それともアンダーパフォームしてしまうのか・・・。前述したとおり、次元の株価はまだ過熱気味かなと思っているので、まだ適正価格までの下落余地はあるのかなと思っていますが、この成長スピードは魅力であり、後で逃して後悔するようなことはしたくありません。

 

結論としては・・・?

今後の値動きがなんともいえないですが、業績的(売上、利益)には今の倍は軽いと思っているので、少し購入をしようと思います。もしこのまま日経をアウトパフォームしないなら、すぐ手放して、しばらく様子を見ることにします。

そうでもない限りは、成長速度の鈍化や、極端な不祥事などが起きない限りは、保有を続けます。

10/10追記 値動きがすぐれないため、当面の間じげんへの投資は見送りといたします。

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