四季報全部読む!番外編その2 ピーターリンチの株式分類法とは? 前編

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四季報全部読む!2018秋で、「成長株」や「資産株」「市況関連株」などの分類を銘柄の隣に書くようにしていますが、これらは記事中でも書いた通り、ピーター・リンチの「株で勝つ」の中で分類されたものです。

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通常、投資を行う際、リスクの低減策として、①日本、アメリカ、新興国といった地域的な分散、②建設や情報通信、サービスや小売といった、業種ごとの分散を行うことがよく言われています。

しかしそれとは別に、「株の性質による分散」を行う必要があるのです。

世界中のイケイケ小型成長株を業種ごとにバラして買っても、全然リスク分散にならないのです。

個人的には急成長株や資産株が好きなので、どうしてもそれ中心のポートフォリオになりがちですが、不景気に負けない優良株や、配当をたくさんくれる低成長株、時流に乗れば大儲けできる市況関連株も、適宜組み入れておかないと、脆弱なポートフォリオになりかねません。

というわけで、ピーター・リンチ流株式六分類を、日本流にアレンジして説明したいと思います。

まず、この六つのうち「成長率」で定義できる「低成長株、優良株、急成長株」から説明します。ところで、「成長率」の定義についてピーター・リンチはなぜか「証券会社に聞けばわかる」と投げやりな説明しかしていませんので、ひとまず営業利益成長率を「成長率」ということにします。

 

①低成長株

低成長株はピーター・リンチ「株で勝つ」の定義によると「GNP(GDP)より少し大きい、2~4%程度の成長率の会社」とあります。また、「配当利回りが高い」ということも定義として挙げています。日本企業の配当利回りは平均的に1.7~8%であるといわれていますから、それより少し高い「配当利回り2%以上」の企業がリンチのいう低成長株であるといえるでしょう。

実は「低成長株」にすらなれない企業だらけ

そこで、株式スクリーニングサイトとして便利な「バフェットコード」で、この条件に当てはまる企業を検索すべく「(過去3年間)営業利益成長率2~4%、かつ予想配当利回りが≧2%」と設定して検索してみると「検索条件に当てはまる企業はありませんでした」と出てしまい、愕然としました。

どうやらこのところの好況で、営業利益成長率が4%を超える企業が多かったために、スクリーニングにひっかからなくなっていたようです。

そこで検索条件を少し変えて、「(過去3年間)営業利益成長率≧0%、かつ予想配当利回りが≧2%」という条件で検索すると、どうにか258社が抽出されましたので、ここから再びスクリーニングを行っていきます。

過去3年の平均営業利益成長率を求めて、平均成長率が2~10%の企業を抽出したところ、残ったのがたったの58社・・・。そのリストを以下に保存しておきます。

低成長株リスト(58社)

代表的なものだと、KDDI、住友電気工業、AGC(旧旭硝子)、積水化学・・・とそうそうたる大企業が並んでいます。
おそらくリンチは、歴史の古い大企業を想定してこの定義を考えていると思うので、小さい企業は外して考えてよいと思います。

 

②優良株(中成長株)

続いて優良株(中成長株)をスクリーニングしていきます。リンチは著書のなかで、年率10~12%程度の成長が期待できる、巨大企業(例:コカ・コーラ、P&G…)を優良株として挙げていました。

先ほどの低成長株のスクリーニングで、結構高い成長率を続けてあげている企業がいることがわかってきたので、配当利回りの条件を削除して再検索。

再び3年間の平均営業利益成長率を求めますが、リンチの「10~12%の成長率」にあてはまる企業が1社だけになってしまったため、条件を広げて、8~20%という幅で検索します。

また、ピーターリンチはこうも語っています。
「自動車、航空、タイヤ、鉄鋼、化学(+防衛)は全て市況関連株」と。
というわけで、検索結果からこの業種の企業を抜いていきます。

その結果、こうなりました。

優良株(自動車、化学抜く)

それにしても、花王や日本電産を抜かなきゃいけないのはもったいない・・・。

 

③急成長株

最後に急成長株です。こちらはリンチの定義では「年に20~25%の成長を続ける、積極性のある小企業」ということで、小企業でかつ、成長率20%以上という条件で探してみたい。

小企業の定義が難しいのですが、「小型株」ということで良いのではないでしょうか。東証の定義では「時価総額の順位が上位500位に入らない」ということですが、ちょっと調べられないので、仮に時価総額500億円以下を小型株と定義したいと思います。

その結果以下のファイルにある127社が条件に当てはまりました。

急成長株(127社)

さすがにマイナーな知らない企業だらけ。手間いらずは先日投資した企業ですが・・・。

ひとまず、これらの企業が、低成長株、急成長株、優良株ということになります。ただ、バフェットコードのデータって、たまにおかしいことがあるので、もしかしたら抜け漏れがあるかもしれません。

もうちょっと精査してみてもいいかも・・・。

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